手織りと山登り
八ヶ岳・霧ヶ峰・南アルプス北部、ちょっと足を伸ばせば奥秩父・中央アルプス・北アルプス
楽しいコースがよりどりみどりです。
山登りしか趣味のない店主が若い頃から登ってきた様々な山の中から、楽しく遊ぶことのできる山を紹介させていただきます。
上諏訪から登山口まで車で1時間以内。アプローチが短く、ゆっくり日帰りができ、どれもこれもお天気さえよければすばらしい所ばかりです。楽しく遊ぶことのできるシーズンは6月から10月まで。それ以外のシーズンはやはりそこそこの装備が必要です。
また、朝早く行動をおこし、早めに終了するのが良いと思います。よっぽどの事が無い限り半日はお天気はもちますし気温が上がらないうちの方が視界がきき爽やかです。少しづつ追加して行くつもりです。 楽しい山行を!
機を織る時、踏み木の踏み順が「1-3-2-4-1-3-2-4-1-4-1-3-2-4-2-4-2-3-1-4-1-4-1-3-・・・・・・・・・・・・・」と長いスパンで繰り返される事はしばしばあ ります。
こんな時、最初は中々この踏み順を記憶することができず苦闘するのですが、6尺(2.2m)も織ると踏み順も自然と頭に入り、手と足が勝手に動き、とても心地よく時間を忘れ何時間も織り続けてしまうことがあります。
また、山を登っている時、「今度こそ!」とか「ここをクリアーできたら」とか考えている時はだめですが、帰路、長い何の変哲もない坦々とした山麓の道を歩いていると、自分が歩いている事を忘れたような、疲れも何も感じないとても心地よい時があります。
この「心地よさ」ってなんなのかと長く思っていたのですが、以前、家のお仏壇にあった「般若波羅蜜多心経」を覗いて見ると、その中の「無受想行識」から「無無明 亦無無明尽」という一節が目に留まりました。なにか妙にこの「心地よさ」を云い得ている様な気がしました。
遠い昔から織物を織り続けてきたおばあちゃん達に「観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 ・・・・・ おまえさん(舎利子) 」と呼びかけられているような、心地よいひと時でした。
【参考】
目的地別にある【MAP】をクリックすると国土地理院25,000分の1の地形図をご覧いただけます。地形図から戻る場合はWEB上の【×】をご使用下さい。
地形図閲覧に当たっては必ずここをご一読下さい
【付録】
- 国土地理院の電子国土ポータルサイト
1/25000の地形図を素晴らしい解像度で見ることができます。しかも全国を連続的に! - 環境省インターネット自然研究所
環境省のHP。日本全国のすばらしい自然がlive cameraでご覧いただけます
01.守屋山(もりやさん) 1650m ★★
南アルプスは北に伸びて諏訪湖にその裾をおとします。おった所が諏訪湖の水が天竜川に流れ出る「釜口水門」です。
そこから約10Km南にあって諏訪盆地を見下ろし、守ってくれている山が守屋山です。うちの娘は頂上のあまりの展望の良さに、高度感を感じ、歩く時腰がひけていました。
麓には「御柱」で有名となった諏訪大社上社(かみしゃ)、前宮(まえみや)があります。ちなみに上社の神官、神長官の姓は守矢(屋)です。
【コースタイム】
上諏訪-車60分-登山口-90分-山頂-60分-登山口
02.入笠山(にゅうかさやま) 1955m ★★
守屋山からさらに南に10Km。昔は鈴蘭が、湿原にはお花が一杯咲いてそれは別天地でした。 もっとも麓の青柳の駅から歩かなくては行けませんでしたが。
今では夏ともなれば車やバイクが走り回っています、が地球が丸く見える程の展望は今も昔もぜんぜん変わりません。
車道が富士見から登りきって右に折れ稜線近くを行く様になる所が大阿原湿地です。遊歩道があります。車を降りてちょっと歩いてみるだけで入笠山の良さが判ります。
【コースタイム】
上諏訪-車90分-登山口-30分-山頂-20分-登山口
03.日向山(ひなたやま) 1659m ★★★
甲斐駒ケ岳と鋸岳の稜線から東に伸びる尾根を日向八丁といいますが、その末端に一寸した隆起があり、それを日向山といいます。国道20号線からも白くザレた山頂が見えます。白砂と月と雁を連想したのでしょうか頂上の白くザレた一帯を「雁ヶ原」といいます。事実30年位前月夜に登った時は、大きな山塊と白砂が月明かりに照らし出されこの世のものとも思えませんでした。春、甲斐駒の残雪の白と、麓の桜、桃の花のピンク、レンギョウの黄が取り合わさった風景も絶品です。また、秋の夕方、尾白川林道を歩くと、大きな甲斐駒と紅葉した黒戸尾根を背景に、落ち葉が西日にきらきら輝きながら、深い尾白の谷の上に広がる空間を、まるで雪の様に乱舞するのを見る事ができます。これを初めて見た時は、きらきら舞っているものの正体がなんなのかしばらくは理解する事が出来ませんでした。
今では、真原(さねはら)の桜並木沿いにはレストハウスができ、雁ヶ原の白砂には縦横に足跡が残され、草まで生え始めてしまいました。で もゲートができたため、林道は旧態に戻りつつあります。錦滝より上の林道にはトンネルが3つあり、最初のトンネルを抜けると、唐音沢(からとざわ) にかかった橋を渡ります。新緑、紅葉の時期、この橋からの眺めも素晴らしいものがあります。
【コースタイム】
上諏訪-車90分-登山口-90分-山頂 - 40分 - 錦滝 -40分-登山口
04.鉢伏山(はちぶせやま) 1928m ★★
美ヶ原の南西、本当にすり鉢を伏せた様な姿の山があり、諏訪湖にそそぐ横河川(よこかわがわ)の源頭となっている山それが鉢伏山です。中腹に「高ボッチ(たかぼっち)」というミニ霧が峰みたいな高原を抱えています。ここの草競馬は最近は垢抜けてしまいましたが、昔はそれこそ抱腹絶叫八倒ものでした。登山口から見ると山容がとても大きく見え大変そうですが、意外とあっさり山頂に立つ事ができます。山頂といっても丸い台地ですが西には北アルプスが大きく広がり、南には諏訪湖、富士山がパノラマの様に広がっています。駐車場に少々お金がかかりますが、ここまで車でこれる事に感謝、感謝。
【コースタイム】
上諏訪-車90分-登山口-30分-山頂-30分-登山口
05.双子山(ふたごやま)2223m ★★
蓼科山と北横岳の鞍部が大河原峠ですがそこから10分位の小さな小さなお山です。今は車で佐久方面に抜けられる様になりましたが、以前は蓼科の親湯(しんゆ)から3時間以上歩かされました。森林帯を抜け天祥寺原(てんしょうじっぱら)にで、峠に立って佐久から吹き上げる風に当たった時の充足感は今でも忘れられません。双子山を反対側に下りた所が双子池。雄池と雌池があります。双子池の南西からちょっとした鞍部を超えると亀甲池(きっこういけ)があります。池の底に亀のコウラの様な模様がある事からそう呼ばれる様です。渇水期には水が枯れてしまう事もありますが、秋の紅葉、蒼い空とシーンと静まりかえった湖面を枕にしてする昼寝は最高です。トラバース気味に道をたどると天祥寺原にでます。ちょっと登り返せば大河原峠はすぐそこです。
【コースタイム】
上諏訪-車120分-大河原峠-10分-双子山-15分-双子池-20分-亀甲池-20分-天祥寺原-30分-大河原峠
06.西岳(にしだけ)2398m ★★★
八ヶ岳の八つの峰を言いなさい、と言われると「赤岳、横岳、阿弥陀岳、権現岳、硫黄岳、天狗岳、編笠山」の7峰までは大概誰でも共通なのですが最後の1峰を「西岳」か「峰の松目」「西天狗岳」(本当の天狗岳は西天狗なのですが普通東天狗を天狗岳っていいますね)にするかは人によって色々の様です。言い換えれば西岳は八ヶ岳でもそれ程マイナーな山なのです。でもマイナーは穴場の代名詞。かつての八ヶ岳の面影を残す唯一の山と言えると思います。春の新緑、夏の風、秋の紅葉どれをとっても天下一品です。足に自信が有る方は編笠を回って「盃流し」へ出ても、ゆっくり1日です。
(八峰苑入口より農場方向に2km位の所にレストラン等が集中している場所があります。そこから西岳側へ登る林道があり、この林道の車止めから不動清水までは約30分の緩やかな登りです。)
【コースタイム】
上諏訪-車60分-八峰苑(はっぽうえん)ゴルフ練習場-60分-不動清水-120分-西岳
水の少ない八ヶ岳での「お水」
- ビーナスラインが滝の湯川を渡る「竜神橋」際 (湧き水・川)
- オーレン小屋付近 (川)
- 不動清水(御小屋尾根) (湧き水) 水量は僅かですが、場所柄とてもおいしく感じます
- 不動清水(西岳登山口) (湧き水)
- 延命水(編笠山登山口) (湧き水)
07.立場山・青薙(たつばやま あおなぎ) 2370m ★★
雪が積もると山肌に色々な形(雪形)が現われ、色々な名前がついています。八ヶ岳の代表は茅野側から見える編笠山の「のぼり金魚」「くだり金魚」それと、立場山の「鹿の角」だと思います。立場山は阿弥陀岳山頂から南に伸びて無名峰手前で直角に曲がり西に伸びる「阿弥陀南稜(なんりょう)」の末端の隆起です。立場川は南稜によって北側に広河原沢、南に立場川とに2分され、前者は阿弥陀岳に、後者は赤岳に突き上げています。広河原沢の突き上げには八ヶ岳の有数の岩場「広河原沢奥壁」・「正面壁」があり、立場山からはその全容がまるで箱庭の様に見渡せます。山頂のちょっと東側の南斜面が大きくザレていて、砂の色が青味がかっている事から「青薙」と呼ばれています。10月後半の晴れた日の青薙は、黒いまでの空の蒼さと、紅葉、枯れ木、岩、そしてしっとりした砂の青さがミックスしとっても幸せなところです。ここから先は山馴れした人達の世界ですが、ここまででも充分楽しめます。
【コースタイム】
上諏訪-車90分-車道終点-20分-南稜末端-90分-立場山-20分-青薙
08.霧が峰 物見岩(ものみいわ) ★★
霧が峰というとなにを想像されますか?「ニッコウキスゲ」「高原」「グライダー」「スキー」色々ありますが、やっぱりあの、ゆったりした起伏の中に咲き乱れる花が一番の様な気がします。
小さな花から大きな花まで所狭しと咲き誇りますがいかんとも無調法な私は大きな目立つ花しか名前が判りません。
その中でも「れんげつつじ」は6月中旬、沢渡りからゆっくり登った台地から望めます。
見渡す限りの草 原の中に、満開の「れんげつつじ」が浮いています。ぶーらり、ぶーらり七島八島を回っても半日。
「草のしとねに寝転んでーえー」その歌そのままの世界が広がっています。でもこの時期お天気が落ち付かない日が多く、ガスった時は方角を失わない様注意が必要です。
【コースタイム】
上諏訪-車60分-沢渡り-40分-物見岩
08_1.蝶々深山(ちょうちょうみやま)周回 1836m ★★★
2010年の夏は山へは行けないのかなとあきらめていたところお友達から「皆で霧が峰に行かない?」とのお誘いがありました。兎にに角にも予定を調整し、8/21久しぶりの山歩きに出発となりました。途中アサギマダラ(と友人が教えてくれました)というきれいな蝶が乱舞する珍しい光景にも出会うことができました。4~5時間の高原散策でしたが初秋の風に吹かれ、山歩きを満喫することができた楽しい楽しい1日でした。
2012年夏、娘と初めての山行でこのコースを歩きました。アサギマダラにも逢う事ができました。
私達が出会ったアサギマダラ 撮影K.U
09.永明寺山公園(えいめいじやまこうえん) 1119m ★
霧が峰が車山(くるまやま)から南に向かって高度をおとし、茅野市街地の北側で山稜を終える手前にある丘が永明寺山です。頼岳寺(らいがくじ)という古刹の裏側から舗装された立派な車道が頂上付近まで登っています。今までご紹介した所と違い、水道、トイレ遊歩道、アスレチック、スリル満点のすべり台などお町の要素を備えた明るい公園です。キャンプはできませんが、みんなで焼肉などするにはもってこいの場所があちらにも、こちらにも一杯です。手入れが行き届いているにもかかわらず、ほとんど人に合わないうそみたいな公園です。展望台には茅野の皆さんの浄財で観音様が平和を祈願し建立されています。八ヶ岳、富士山、南アルプスの展望はすばらしいものがあります。
【コースタイム】
上諏訪-車40分-展望台-車5分-駐車場
10.金山神社(かなやまじんじゃ)裏の1300mの稜線 ★★
諏訪湖の東側に迫っている山稜の1本東側の稜線です。地形図で見ると「双葉ヶ丘」という文字の上に「上諏訪」という文字があり、そのすぐ下に東に登る道があります。この道を登り詰めた所が「金山神社」で小さな祠と、小川があります。ここまでは林道がありますが車は舗装の切れた所に置いてきた方が無難です。神社周辺は氏子の皆さんが整備されている為でしょう、何時行っても気持ちの良い所です。この神社の手前に「つ」の字型のカーブがあり、そこから右に踏み跡が登っています。ここからは、雑木林がつづきます。途中、はしごがあったりして一寸きついところもありますが一汗かいた頃稜線に出ます。振り返れば諏訪湖が眼下に広がっています。去年、娘達と行った時、鹿がどどーと3頭現れたのには驚きました。一日いてもめったに人と出合うことはありません。新緑の春、蝉時雨の夏、紅葉の秋、すっかり葉が落ちてしまった晩秋、ここの雑木林は何時行っても緊 張する事無く「ほっと」して歩けます。
【コースタイム】
上諏訪-車15分-舗装道路終点-45分-金山神社-60分-稜線
11.精進ヶ滝 ★★
甲斐駒ケ岳東面を源頭とする大武川(おおむかわ)の一大支流石空川(いしうとろがわ)にかかる大武川支流では有数の滝です。落差120m余り。水量はそこそこにあるのですが、下に落ちきった時は霧となってしまっています。中央道の長坂ICの一寸甲府よりからも、目を凝らして見るとその姿を見る事ができます。10数年前までは歩き難い道でしたが、近年超立派な吊橋が懸かり、遊歩道、駐車場も整備され、林道もなんと舗装されてしまいました。山の懐が大きいため、一寸大雨が降ると最初の滝を巻くために付けられた鉄製の階段と橋が壊れ、大きく高巻かねばなりませんが、大概巻くことも無く、川の水のきれいさに驚いているうちに滝についてしまいます。もっとも、20年も前、友達とこの滝を見に行こうと約束し、当日の朝急用で行けなくなった事がありました。立派な橋があるから大丈夫、大丈夫といって送り 出したのですが、運悪くその年は見事に橋が流失していて、とんでもなく苦労してたどりついたという方々もいらっしゃいますが・・・うらみ骨髄で、今でもうらみ話で盛りあがります。
とにかくここは、歩かなくてはその良さが半減してしまいます。どこでもそうですが、車を降りて10分も歩けばまるで違った世界を感じられます。橋の状況は北杜市武川総合支所 地域振興課(TEL0551-42-1118).に問い合わせれば教えていただけます。がんばってみましょう!!
(MAPで滝のすぐ東側まで伸びている林道は下から見ると立派な白いアーチ橋の懸かった林道ですが途中大崩落があり車では入れません。歩いて行っても滝の側壁が高く、河床には降りることはできません。駐車場は地形図の「石空川」の「川」の下です。)
【コースタイム】
上諏訪-車50分-駐車場-45分-精進ヶ滝
12.三峰川(みぶがわ)の巫女淵(みこふち)付近 ★
三峰川は南アルプス仙丈岳(3033m)に源を発する天竜川の一大支流です。小瀬戸峡付近までは川の水も比較的汚れてしまいましたが、三峰川林道の車止め(地形図の「大曲」という字の下にある橋のすぐ手前に車止めがあります)から始まる巫女淵までゆくと、山の川という感じを取り戻します。三峰川林道はかつての森林鉄道の軌道敷跡につくられたとかで、平坦で、歩き易い道の途中には、水量こそありませんが滝もあり、岩から湧く冷たい冷たい水もあります。テント張って寝転がればもう下界に戻れなくなってしまうかも!
【コースタイム】
上諏訪-車70分-大曲車止め-40分-大黒沢出合の橋
13.鳴岩川 河原木場沢 醤油樽(なるいわがわ かわらこばさわ しょうゆだる)の大滝 ★★★
中学校3年生の時ですから、もう40年も昔の話になります。卒業式も終わり教科書の整理をしていると、夏、八ヶ岳登山をした時使ったガイドブックが出てきました。思わず読みふけっていると、「幽邃」という文字が2つの場所に使われていることに気付きました。1つは「立場川の暗渠」、もう1つがこの「河原木場沢の醤油樽」でした。とても好奇心が旺盛なのは今も昔も変わりません。「幽邃」といわれる場所、また「醤油樽」という不可思議な名のついた場所を見てみたい!思いは日々つのる一方です。
確か6月だ ったと思います。もう居ても立ってもいられなくなり、ザックを背負い出陣となりました。須栗平(すぐりだいら)というところでバスを降り、今では別荘地になってしまった広見(ひろみ)開拓地の延々と拡がる畑の中をガイドブックに書いてあった「はつどう山」目指して黙々と歩きました。気が付いた時は河原木場沢の出会いに立っていました。
出会いは、ガラガラで、草や潅木が生えている小沢でした。10分程登ると1mの滝が現れました。なぜかとても腹がへり、むすびをほうばりました。
そこから先は、恐怖、驚愕、感動、などなど、あらゆる感情が交錯、全身の筋肉は増強剤を投与された感を呈し忍者のごとく動き回り、聴覚は冴えわたり、きっと目玉も飛び出ていたに違いない状況が続きました。
今、行ってもどうやって登ったのか判らないところを登り、大滝の正面に立ちました。とりあえず写真(上の写真)を撮り、飯を食い、追い立てられるように下りました。「はつどう山」が横に見えるところまで下ってきたところで、突然、緊張が解けたのでしょう、強烈な脱力感に襲われ草むらに転がり込んでしまいました。
今では、河原木場沢出会いの更に奥までも一般車が入れるようになり、踏み跡も立派な道になりました。わらびが、それこそ座って採るだけで、抱えきれない位採れた場所も、唐松がすっかり大きくなり、日の光が地面まで届かなくなって、わらびも痩せ細ってしまいました。でもあの時の感覚は昨日の事のように鮮明です。
最近、「恐怖」と「畏怖」の違いがなんとなくわかるような気がします。私の「沢登り」の第一歩でした。
【コースタイム】
上諏訪-車70分-河原木場沢出会い-120分-大滝
この文を読み返して見ると、私は緊張すると腹がへる傾向にあることに気が付きました。そういえば、昔、友達をつれて山に行き、道に迷いパニック寸前の時、「腹がへっては戦はできねえ」とか、えらそうに言って、皆が持ってきた、最後の握り飯を食ってしまい、あの場面では案内人の私に黙っていた方々から、後日、ひんしゅくを買った事がありました。言い訳がましいかもしれませんが、今思えば、やっぱり緊張していたんですね!!
【ゴルジュ】
渓谷の両岩壁が細く狭まった箇所。氷蝕や水蝕によってできる。groge[喉]
Mountaineering terms Ver.6.5 (2002.11) Takemura, Yoshihito より転載
醤油樽、暗渠などは皆「ゴルジュ」なんて言葉がなかった頃から使われていた地形の呼び名だったんです。醤油樽の最狭部は30cmあるかないか位です。
【追記1】
「先日の新聞に醤油樽まで遊歩道が整備されるとの記事が載っていた」と友人から聞きました。おもちゃ箱から大切にしていた宝物がまた一つ無くなってしまいます。一寸寂しいです。
【追記2】
先日(2011/11/13)友達が久久ぶりに河原木場沢へ行ったところ荒れてしまったとの感じはなかったとのこと。
この写真の滝も以前と変わっていません。嬉しかったです。 写真撮影 Y.S
14.雨乞岳(あまごいだけ) 2036m ★★★
雨乞岳は南アルプス北端の前衛としてひっそり佇んでいる山です。入笠山、日向山山域がすっかり荒れてしまったのにも関わらず、雨乞岳周辺はまだかつての入笠山、釜無山、日向山の面影をくっきり残し、南アルプス前衛の静けさを保っています。
釜無川と立場川の合流点下流、右岸にある大武川集落から、雨乞岳北山稜北面に付けられた釜無山林道を使い1350m地点まで車で入れます。ゲートから林道終点までは快適な遊歩道、途中には水場も何ヶ所かあります。終点からは北山稜稜線目指して急傾斜のジグザグの登り。登りきると、笹原のなかを頂上まで緩やかな登り下りが続きます。連れていったうちの犬が猿と喧嘩を始めてしまい、鹿は走るは、猿は木の上で大騒ぎをするは、鳥は飛び立つはでえらい騒ぎになってしまいました。最近鹿と、猿がめっきり増えた事を実感させられました。(こんな経験は初めてです。熊さんまで登場し、お怒りをかったらどうしようと思い、いささかオドオドしました。)
この道沿いにはゴミが1つもありません。景観に人間臭がありません。諏訪の周辺の山は隅々ま でたくさんの人が入り、このような山は皆無になってしまいました。熊さんお邪魔はしませんから、この山、守って下さいとお願いしました。
【コースタイム】
上諏訪-車60分-車止め-80分-林道終点-40分-北尾根稜線-50分-山頂
15.鞍掛山(くらかけやま) 2037m ★★★★
深田久弥の「日本百名山」が出版された頃の日向山一帯は訪れる人もまばらで静かな山域でした。麓から一気に2000mの高度を上げる甲斐駒ケ岳周辺の地形は複雑を極め、黒戸尾根、尾白川渓谷に伸びる登山道以外一般登山者が訪れることは難しい、と思っていました。ところが、甲斐駒は昔から信仰の山です。山を信仰の対象とした人々は、何の登攀用具も無い時代、石仏を背負い、この険しい山域を山頂目指して攀じ登っていたのです。同様なことは、滅多に訪れる人も無い小さな山頂に置かれた三角点を見ても、花崗岩の標石を背負い、道無き道を登り切った人々がいた事が思われます。また、かつて知床で、こんな話も伺いました。一晩で2mの積雪をみることも珍しくない厳冬期の知床半島を、アイヌの狩人は近代登山の始まるはるか以前より日常的に横断していたと。
明治以降、いわゆる近代登山が始まりました。「強靭な意志を持ったクライマー」は山を始めた頃の私達の憧れでした。しかし、今、山を歩いていると、わらじ、渋紙、味噌、米程度の装備で20貫(75kg)を超える荷物を背負い、「日常的」に信じがたい場所まで足跡を印していた、記録にも残らない多くの人々の、ただ、ひたすらに頂に歩を進めていた姿が思われます。
日向八丁尾根にも日向山から大岩山、烏帽子岳を経て、甲斐駒まで、かつては山を信仰する人々、猟師が歩いたであろう道があったと聞きました。地名にもそれらしきものが幾つも見うけられ、祠も随所で見られます。でも現在では、明確なトレースは駒岩まで。そのトレースも獣道と交錯した状態にあります。
至近距離の鞍掛山から仰ぎ見る甲斐駒には、異様とも思われる畏怖感があります。雲海のかなたに、ご来光を迎えた時と同じように、思わず手を合わせたくなります。
鞍掛山は、自然と一つであれたら、そんな想いの山登りの、修験場なのかも知れません。
甲斐駒ケ岳をこよなく愛された東京白稜会 恩田善雄氏の集められた貴重な資料を、国道20号から駒ケ岳神社方面にちょっと入り左側にあるシャルマンワイン甲斐駒ケ岳資料館で見る事ができます。
【コースタイム】
上諏訪-車60分-矢立石日向山登山口-90分-日向山-100分-駒岩-30分-鞍掛山
16.三峰山(みつみねやま) 1887m ★★
霧ヶ峰北端にある鷲ヶ峰(1,798m)の稜線が和田峠(1,532m)で高度を落とし更に北に伸びて高度を上げきった所が三峰山(1,887m)です。ビーナスラインの駐車場(16:00閉鎖)から丈の低い笹の中をのんびり歩きます。
車山が人だらけの時でも殆ど人に合うことは無い程マイナーです。でも360°の展望は決して車山に劣りませんし朝日、夕日を見るには絶好のロケーションです。一度諏訪湖の花火をてっぺんで見ようと画策しています。
【コースタイム】
上諏訪-車60分-三峰駐車場-45分-三峰山-30分-三峰駐車場